緑肥の効果的な活用法:持続可能な農業を目指す

最終更新日 2024年1月11日 by やまふじ農園

ヘアリーベッチ
ヘアリーベッチ

「緑肥」とは

緑肥とは土壌の肥沃性を向上させるために特定の植物を育て、それを土にすき込んで自然に分解させる持続可能な農法です。

緑肥を使用する主な理由は、土壌の栄養価を高めることにあります。これは、肥料に頼る従来の農法とは異なり、土壌の健康を長期的に保つための自然な方法です。緑肥は土壌の構造を改善し、有機物の供給源となり、土壌の生物多様性を増加させることで、全体的な土壌の質を向上させます。

例えば、マメ科の植物(クローバー、ヘアリーベッチなど)は緑肥として一般的に使用されます。これらの植物は、特に土中の窒素含有量を高める効果があります。これは、マメ科植物が根粒菌と共生関係にあり、大気中の窒素を土壌中に固定する能力があるためです。これにより、後続の作物の成長を促進し、化学肥料の使用量を減らすことができます。

緑肥は、土壌の質を向上させるだけでなく、持続可能な農業を実現するための重要な手法です。化学肥料への依存を減らし、土壌の健康を長期的に維持することにより、環境に優しい農業の実践が可能になります。

ライ麦
ライ麦

主要な緑肥作物の種類とその特徴は?

緑肥とは、土壌の肥沃化と環境改善を目的とした、植物を土にすき込んで利用する農法です。異なる種類の緑肥作物は、それぞれ特有の特徴と効果を持ちます。

緑肥の使用は、土壌の肥沃度を高めるだけでなく、病害虫の抑制、微生物の活性化、土壌の水はけ改善など、多様な農業上の利点をもたらします。また、持続可能な農業を支える重要な役割を果たし、化学肥料への依存を減らします。

  • エンバク:イネ科の植物で、春まきや秋まきに適し、病害虫抑制効果があります。
  • ヘアリーベッチ:マメ科の植物で、雑草抑制効果が高く、日陰でも良く育ちます。
  • ヒマワリ:キク科の植物で、土壌のリン酸吸収を促し、透水性を改善します。
  • ライ麦:イネ科で、耐寒性が高く、土壌の飛散防止に効果的です。
  • マリーゴールド:キク科で、センチュウ類の抑制に効果的であり、美しい花を咲かせるため景観用としても優れています。

緑肥作物は、それぞれ独自の特性を持ち、土壌改良、病害虫の抑制、生物多様性の促進など、農業に多方面で貢献します。適切な緑肥作物を選択し、土壌と作物の健康を維持することは、持続可能な農業実践の重要な一部です。

レンゲ
レンゲ

緑肥のメリットとデメリット

緑肥は、土壌の改善と持続可能な農業実践に役立つ方法ですが、その使用にはメリットとデメリットが存在します。

緑肥の使用には、土壌の肥沃度を高めることや、土壌環境の改善、害虫抑制、雑草の抑制などの多くのメリットがあります。これらは化学肥料の使用を減らし、持続可能な農業をサポートします。一方で、緑肥の使用は生育期間や環境に左右されること、化成肥料に比べて収量が少ないこと、時間やコストがかかることなどのデメリットも伴います。

  • メリット: 緑肥は土壌中の微生物を活性化させ、土壌の有機物を分解する働きがあり、土壌の肥沃度を高めることができます。また、センチュウの抑制や施肥量の削減にも効果的です。
  • デメリット: 緑肥の生育は天候や土壌環境に影響を受けやすく、特に乾燥地では生育が良くありません。また、緑肥を育てるには時間がかかり、化成肥料に比べて生産量が低くなる傾向があります。

緑肥は土壌の健康を促進し、持続可能な農業に寄与する重要な方法ですが、その効果は地域の気候や土壌の条件によって変わる可能性があります。そのため、緑肥を使用する際には、そのメリットとデメリットを十分に理解し、状況に応じた適切な種類と利用方法を選択することが重要です。

緑肥の適用方法-やまふじ農園の場合(ヘアリーベッチ)

モアでヘアリーベッチを粉砕する

ヘアリーベッチは、マメ科の緑肥植物で、根に根粒菌が共生して空気中の窒素を固定し、土を肥沃にする効果があります。この植物の栽培と適切なすき込み方法を理解することは、効果的な土壌改良に不可欠です。やまふじ農園では、稲作にヘアリーベッチを利用しています。

ヘアリーベッチの栽培は、土の肥沃化と雑草の抑制に効果的です。この植物は雑草を防除するシアナミドを含み、特に栽培された後の土壌に残存することで、後続の作物の成長を促進します。
昨今の肥料の値上がりを受けてヘアリーベッチを緑肥としてお米を栽培したところ、十分に満足いく結果が出たので、これを継続する方向にかじを取りました。

  • ヘアリーベッチの栽培: 稲刈りが終わったあと、秋(9月~10月)に種を直接田んぼに散粒器を使って撒き、トラクターで軽く耕耘して土と混和して覆土代わりにします。
    これで鋤きこむ春まで何もしません。だいたい、1週間から10日で発芽を確認することが出来ます。
    当地では播種が11月になると発育が不良となる確率が高くなるので10月一杯までに播種作業を終わるようにしてます。
  • ヘアリーベッチのすき込み: 4月から5月ころ鋤き込みます。4月上旬ごろはトラクターのロータリーでも鋤き込めますが、4月下旬以降になると、茎が硬くなるのでロータリーに絡まりやすく作業の効率が著しく落ちるのでモアでヘアリーベッチを砕いてからロータリーで鋤き込ます。

ヘアリーベッチの栽培とその後のすき込みは、土壌の肥沃化と雑草の抑制に役立ちますが、後続作物の種類によっては適切でない場合があります。このため、ヘアリーベッチを含む緑肥作物を使用する際は、作物の選定と栽培計画に細心の注意を払うことが重要です。

緑肥作物の選び方

緑肥作物を選ぶ際には、その植物の特性や土壌の状態、目的に合った作物を選択することが重要です。

緑肥作物は土壌の肥沃化、病害虫や雑草の抑制、土壌の団粒化促進などの多様な効果をもたらします。しかし、作物によって得られる効果や栽培に適した環境が異なるため、選択には慎重さが求められます。例えば、マメ科の作物は窒素固定能力が高いですが、イネ科の作物は有機物の量を増やすのに適しています。

  • マメ科の緑肥作物: レンゲやヘアリーベッチなどがあり、窒素固定能力が高く、分解も速いです。これにより、土壌中の窒素量を増やすことができます。
  • イネ科の緑肥作物: ライ麦やエンバクなどがあり、これらはカリの吸収に効果的で、成長すると分解が遅くなり、土壌の有機物量を増やす効果があります​​​​。

緑肥作物を選ぶ際には、目的、土壌の状態、作物の特性を考慮することが重要です。
緑肥作物を鋤き込んだ後に栽培する農作物との時期的なタイミングを考慮することが非常に難しく大切なのでこの点は十分に検討していく必要があります。
また、肥料価格の高騰などを考慮して、緑肥を化学肥料の代替として活用することも考慮すると良いでしょう​​。適切な緑肥作物の選択によって、土壌の健康を維持し、持続可能な農業を実践することが可能です。

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