最終更新日 2024年11月1日 by やまふじ農園
はじめに
今年もマイコス米栽培に挑戦しようとしている。昨年に続き、試行錯誤を繰り返しながら、この新しい技術を駆使して米作りに挑戦する。今年の栽培計画、そしてその進捗を記録していく。
マイコス米とは
マイコス米とは、籾種にマイコス菌(菌根菌)を接種することにより、根を活性化させて水無し技術で栽培するお米のことを指す。田植え機を使用せず、苗の準備も不要という画期的な技術である。
昨年の振り返り
昨年、Facebookを通じてマイコス米の存在を知り、試験栽培を行った。海老芋畑の端に畝を作り、マイコス菌を接種した籾を播種した。順調に成長し、出穂まで確認できたが、畝での栽培だったため、収穫にコンバインが使用できず、手刈りが必要となったため、出穂の確認後に草刈り機で刈り倒した。
今年の計画
今年は再びマイコス米の試験栽培に挑戦する。昨年の経験を踏まえ、いくつかの改善点を取り入れた。
- 品種の変更 昨年使用した「きぬむすめ」から「にこまる」に変更した。きぬむすめは高温耐性があるが、水無し栽培ではシラタ(乳白米)の心配があったため、出穂が遅く高温の影響を受けにくいにこまるを選択した。
- 栽培方法の改良 畝栽培をやめ、平地に播種してコンバインでの収穫を目指すことにした。
栽培の進捗
5月6日 マイコス菌を接種した種籾を播種機を使って播種した。昨年はマイコス菌500倍希釈、イーストガード2000倍希釈、K3 8000倍希釈、アイアンガード2000倍希釈の液を種籾に散布して接種したが、今年はYouTube動画を参考にしてナイロン袋に籾種1kgとマイコス菌5gを入れて撹拌する方法を採用した。この方法は昨年よりも簡便だった。
5月19日 ようやくマイコス米の発芽を確認した。
6月19日 クリンチャーバスME 100倍希釈を20リットル/300m2に散布した。
これで枯れてほしい。1週間後確認する。
6月30日 クリンチャーバスの効果が確認できた。しかし物足りない。広葉雑草については期待通りと言って良いがメヒシバは枯れてはいるが、これで解決するとは思えない。
7月6日 3種(イーストガード4000倍希釈、K3 8000倍希釈、アイアンガード8000倍希釈)を葉面散布した。メヒシバがひつこい。全然勢いが衰えない。。バスターかけたい。カルチするか。カルチとは省力の目標からすると本末転倒になる。
7月7日 マイコス米にへの字施肥。これまで施肥無しで栽培してきた。への字は基本的に出穂45日前の施肥だが、水が無いので効果も時間がかかると思ったので、ちょっと早い50日前に窒素5キロ分の高度化成14-7-10を、施肥した。300平方メートルなので10kg施肥した。
7月11日 追肥による葉色が濃くなった。稲(にこまる)も大きくなってきたが雑草(メヒシバ)の勢いも凄い。ちょっと発想の転換で稲刈りでメヒシバがコンバインに対してトラブルを引き起こす原因などにならなければ、それもありかなと思ったりする。それほどメヒシバが厄介。従来の水稲栽培の感覚で考えると。
7月14日 雑草(メヒシバ)が目立ってきたため、クリンチャー粒剤を散布しました。メヒシバはイネ科雑草なので、クリンチャーを選択しました。マイコス米試験地が300m²の広さなので、300gを散布しました。
効果があるか気になります。ネットでメヒシバについて調べると、非常に丈夫な雑草だということがわかりました。稲が植わっていなければ、ラウンドアップのような除草剤で簡単に枯らせるのですが、稲がある場合はそういうわけにはいきません。
クリンチャーの効果が十分でない場合、条間をカルチするのが確実そうです。しかし、カルチするお言うことは、マイコス米による省力化という土台が崩れ去るように思えます。そこまでする必要はないかもしれません。
7月19日 前回のクリンチャー粒剤の効き方が芳しくない為、クリンチャーを1000倍希釈で30リットル散布しました。今回は早めに決断しました。
8月13日 マイコス米に3種(イーストガード4000倍希釈、K3 8000倍希釈、アイアンガード8000倍希釈)+尿素500倍+硫マグ2000倍を散布。
8月17日 マイコスにこまるだいぶ成長してきました。メヒシバは相変わらずです。
クリンチャー散布も効いたのか?という感じです。散布してなかったらもっとひどい状態になってたのか?左隣は慣行栽培のきぬむすめです。見た目は遜色ない感じがします。マイコスにこまるの方が稈長が短いです。慣行にこまるは、あと1週間後くらいに出穂です。なのでマイコスにこまるも、いよいよ出穂間近です。非常に楽しみです!
9月1日
台風10号の影響と現在の状況
先週から台風10号の動向に振り回されていましたが、今は紀伊半島沖に停滞しており、気圧が低いため、京都府にはこれ以上の被害は出ないと考えています。
マイコス米の生育状況
今日、マイコス米の写真を撮影しました。出穂は8月27日頃で、穂の揃い具合も良好です。昨年はきぬむすめの試作で畝に3条だけ蒔いたため、出穂の迫力があまり感じられませんでしたが、今年は多くの条数を蒔いたため、出穂の迫力を強く感じます。
生育の良いところと悪いところ
生育が良いところは非常に順調で、慣行栽培と比べても遜色ないほどです。しかし、生育が悪い部分もあり、そこでは雑草に埋もれるような状態です。慣行栽培のきぬむすめが隣接している部分は、水を入れていなくても地下から水分が浸み込んでいる感じがします。一方で、生育が悪い部分は反対側にあり、水分が少なく感じられます。そのため、草丈が低く、地表まで日射が多く届くことで、さらに水分が少なくなる悪循環に陥っているのではないかと考えています。
今後の改善点
稲の草丈が高い方が良い結果をもたらすため、初期成育を良くする必要があります。今年は元肥を入れずに播種し、出穂50日前に初めて施肥しましたが、初期成育が遅れた可能性があります。施肥後は葉色が濃くなり、成長も速くなったことを実感しました。来年は元肥を入れるか、発芽後早い時期に追肥を行うことを検討しています。これも雑草対策の一環として考えています。
10月19日
ついに半年にわたる稲作の総仕上げとして稲刈りを行いました。今年は、昨年の試験を経て、無事に収穫までたどり着くことができました。栽培中にはメヒシバ(雑草)の勢いが気になっていたのですが、稲の登熟が進むにつれて、メヒシバも自然と勢いを失っていく様子が見られました。
コンバインでの稲刈りもスムーズに進み、大きなトラブルもなく終えることができました。メヒシバについては、思っていたほど影響が大きくないのかもしれません。むしろ、収量の多寡に影響する要因は、メヒシバ以外の部分にあるのかもしれないと感じています。
10月20日
僅か300㎡での栽培なので、収穫量も控えめです。そのため、最初から最後まで通風乾燥で水分量15.5%まで乾燥させました。稲刈りの後、乾燥作業に入り、翌日の10月20日に籾摺りを実施しました。その結果、玄米105kgが収穫できました。
これを1反(1000㎡)の収量に換算すると、次の計算となります:
1反あたりの収量=1000㎡ ÷ 300㎡ = 3.33
105kg × 3.33 = 349.65kg
つまり、約350kg/反の収量となりました。
11月1日
籾摺り後1.8mmの選別網で選別した玄米を穀粒判別機にて検査しました。
なお検査玄米は色彩選別機を通してません。検査結果は以下の画像の通りです。
整粒値で70%ありました。1等米では無いですが、品質的にはじゅうぶん満足できるのではないでしょうか?
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