マイコス米栽培の新たな展望:乾田不耕起播種と古き不耕起直播機の復活を強く切望する!!

最終更新日 2024年8月31日 by やまふじ農園

マイコス米の試作から得た知見と課題

2023年と2024年にかけて、私はマイコス米の試作に取り組みました。このプロジェクトを通じて、マイコス菌を利用した栽培方法の有効性を実感しています。特に驚いたのは、基本的に水を入れない乾田でも、マイコス菌をまぶして播種するだけで、稲株がしっかりと育つという点です。これは、一般的な稲作と比べて、潅水の手間やコストを削減できる可能性があるため、大きなメリットです。

雨水の影響と成長促進

雨水が多めに降る場合、稲の成長がさらに促進されることも確認しました。この結果は、マイコス菌が持つ特性と相まって、自然条件が整えば、従来の潅水がなくても、稲作が可能であることを示唆しています。これは、特に水資源が限られている地域や、環境への配慮が求められる現代において、非常に価値のある発見です。

雑草の問題

しかし、この栽培方法には大きな課題が残されています。それは、雑草の管理です。従来の慣行栽培では、水を張った田んぼが雑草の発生を抑える一助となっていましたが、乾田での栽培ではその効果がなくなり、雑草が多く発生しやすくなります。私が試作したマイコス米の圃場でも、この雑草の管理が非常に難しく、これが栽培全体の効率を下げる要因となっています。

解決策の模索

SNSや農業関連の情報を分析している中で、いくつかの雑草管理技術が有望であることが分かりました。例えば、除草剤に別解汁(べっかいじる)を加えることで、除草効果を高める方法や、不耕起直播(ふこうきちょくは)を行うことで雑草の発生を抑制する技術が紹介されています。また、播種後に圃場を鎮圧することで、除草剤や土壌処理剤の効果を最大化する方法も有効とされています。

これらの技術を駆使し、マイコス米栽培における雑草問題を克服できるかどうか、今後の試験や検討が必要です。特に、乾田不耕起直播栽培との組み合わせが雑草管理の一つの鍵となる可能性があります。これにより、マイコス米の栽培がさらに持続可能で効率的なものとなることを期待しています。

乾田不耕起直播栽培の可能性

乾田不耕起直播栽培は、稲作において注目されている方法の一つです。従来の田植えや耕起作業を省略し、種を直接乾いた状態の田んぼにまき、そのまま育てるという栽培方法です。この技術は、特に水管理や作業効率の面で大きなメリットがあるとされていますが、その中でも雑草管理の観点から非常に有望な方法であると考えられます。

地面が固く鎮圧されていることの利点

乾田不耕起直播栽培では、耕起しないので地面が固く、すでに自然に鎮圧されている状態が多く見られます。これは、除草剤や土壌処理剤を使用する際に非常に有利な条件を生み出します。固い土壌では薬剤が表層にとどまりやすく、雑草に対する効果がより直接的で強力になります。

また、固い地面は雑草の根が深くまで伸びにくくなるため、発芽率が低下し、結果として雑草の管理がしやすくなると考えられます。この効果を最大限に活用するためには、播種後に圃場を鎮圧する作業が重要です。この作業により、種子がしっかりと土壌に密着し、除草剤や土壌処理剤の効果をさらに高めることができます。

藁を活用した雑草抑制

もう一つの大きな利点は、前年に収穫された稲の藁を活用できる点です。乾田不耕起直播栽培では、前年の藁をそのまま田んぼに残し、これがいわば「自然なマルチ」の役割を果たします。藁は雑草の発芽を抑制するだけでなく、地表の水分保持にも寄与します。このようなマルチ効果は、特に初期段階の雑草管理において非常に有効ではないかと考えています。

乾田不耕起直播栽培とマイコス米の相性

マイコス米栽培においても、この乾田不耕起直播栽培は有望です。マイコス菌を利用することで、土壌の改良や植物の成長促進が期待されますが、乾田不耕起直播栽培を組み合わせることで、さらに効率的で持続可能な栽培システムが構築できるのではないかと考えています。

この方法では、土壌の撹乱が少ないため、土壌微生物のバランスが保たれやすく、これがマイコス菌の働きと相乗効果を生む可能性があります。さらに、前述のように雑草管理が容易になれば、全体の作業効率が向上し、結果としてより高品質なマイコス米の生産が可能になるでしょう。

機械化と効率化による新しい栽培技術の導入

農業の機械化と効率化は、現代農業において重要なテーマです。しかし、乾田不耕起直播栽培のような新しい技術を導入する際には、特に小規模農家にとって課題も多く存在します。現在、市場に出回っている不耕起播種機は大型トラクター用のものばかりで、主に農業法人や大規模農家向けに設計されています。そのため、我々のような小規模農家や資本力の乏しい農家は、これらの技術の恩恵を十分に享受できないのが現状です。

昔の技術、機械とその再評価

約30年前、岡山県のみのる産業から、25馬力程度のトラクターに装着できる不耕起播種機「PFT-6 JIKAMAKI名人」が製造・販売されていました。この機械は、主に岡山県の直播栽培地域で使われていました。
当時の中小規模農家にとって非常に貴重な存在で、作業の効率化に大いに貢献しました。この「PFT-6 JIKAMAKI名人」は、書籍『乾田不耕起直播栽培: 10アール5時間のイネつくり』でも紹介されており、農業現場での具体的な活用方法やそのメリットが詳述されています。しかし、現在ではこの機械の製造が中止されており、当時のような少馬力トラクターで使用できる不耕起播種機がほとんど存在しない状況です。

旧技術の復活を望む声

近年、マイコス米による乾田栽培の実用性が高まってきたことで、再び「PFT-6 JIKAMAKI名人」のような小規模農家向けの不耕起播種機が求められるようになっています。乾田不耕起直播栽培の普及に伴い、少馬力トラクターで使用できる不耕起播種機の需要は必ず高まると考えています。これは持続可能な農業を目指す上で重要な要素となるでしょう。特に、「PFT-6 JIKAMAKI名人」のような機械が再び利用可能になれば、私たち小規模農家もその恩恵を受けられ、作業効率を大幅に向上させることができます。メーカー(みのる産業)には、ぜひ「PFT-6 JIKAMAKI名人」の製造を再開し、この技術を再び農業現場に提供してほしいと願っています。

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